センター概要

インフラマネジメント技術研究センターの概要

岐阜大学では、既存のインフラ施設に対して適切な診断と処置を行うことができる技術者であるメンテナンスエキスパート(Maintenance Expert : ME)を養成するために、平成20年度より社会基盤の整備や管理に関係する社会人を対象として社会基盤メンテナンスエキスパート養成講座(以下、ME養成講座)を開講しています。このME養成講座は、当初の5年間は文部科学省科学技術戦略推進費「地域再生人材創出拠点の形成プログラム」の支援を受け、また平成25年度からは岐阜大学大学院の履修証明プログラムとして進められています。

インフラマネジメント技術研究センターは、ME養成講座の実施をはじめとしてさまざまな活動を行うために、人材育成領域、地域実装領域、国際展開領域の3つの領域から構成されています。

社会基盤MEが拓く新たな維持管理

人材育成領域は教育・人材育成を担当しています。本領域は社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)養成講座運営部門と教育システム展開部門から構成され、それぞれME養成講座とインフラマネジメントリーダー育成プログラムの運営を継続的に進めています。ME養成講座は、岐阜大学大学院自然科学技術研究科の履修証明プログラムとして開講されており、講義の実施には同研究科環境社会基盤工学専攻の全面的な協力を得ています。ME養成講座は大学院の講義であるため、原則としては受講には大卒資格が必要です。ただし、大卒資格を有していない技術者であっても、これまでの業務経験を通して大学卒業と同等の能力を身につけていることを面接により確認できれば受講を認めるようにしており、これにより多くの技術者に対して門戸を開いています。ME養成講座の実施に当たっては、社会基盤メンテナンスエキスパート養成ユニット運営協議会と連携することにより、円滑な運営を図っています。社会基盤メンテナンスエキスパート養成ユニット運営協議会は岐阜大学の外部に設けられた組織であり、国土交通省中部地方整備局、岐阜県、岐阜県測量設計業協会、岐阜県建設業協会、岐阜県建設研究センターの参画により、産官学の協力体制を構築しています。また、ME認定者の組織であるMEの会と連携を取りながら、ME認定者のスキルアップの一環として座学やフィールド実習を実施しています。インフラマネジメントリーダー育成プログラムは、自然科学技術研究科のプログラムとして実施しています。本プログラムはインフラ施設を適切に維持管理するために、一般学生であれば確かな形式知を持ち即戦力を有する、また社会人学生であれば技術力のみならず説得力を持ったインフラマネジメントリーダーを育成します。プログラムの特徴として、一般学生・社会人学生がともに学ぶPBLを実施しており、グループワークを通じてインフラマネジメントに関する課題に取り組み、その解決を図ることを通じて、実践力を身につけます。

地域実装領域はインフラの維持管理や防災・減災に関わる研究開発と技術普及を担当しています。地域のインフラには、地域固有の課題がありマニュアル通りのマネジメントをしていては合理的な維持管理はできません。社会のニーズにあったインフラの維持管理が必要とされています。地域実装領域では、質の高いインフラのマネジメントやインフラに適用される技術を積極的に導入するという視点で、岐阜社会基盤研究所、さらには工学部社会基盤工学科をはじめとする学内外の関連組織と連携を取りながら、研究開発や技術導入を進めています。地域で使いやすい技術の研究・実装化を通して維持管理や防災・減災技術の高度化を目指した研究を行っています。また地域協働型のインフラ管理のための社会制度、人材育成方法、合意形成手法の研究も進めています。技術普及については、ここで開発された技術のみならず、最新技術に関するインフラマネジメント講演会を開催し、地域技術者への情報提供の場を設けることで、技術者の技術力の向上を進めています。

国際展開領域はインフラ施設の整備・維持管理の国際展開を担当しています。インフラ施設の整備・維持管理は、日本だけでなく世界中の大きな課題であり、国際展開領域では、我が国のインフラ維持管理技術やME養成講座で培った人材育成や地域連携といった枠組みの国際的な展開により、世界の「人づくり」「安全安心な暮らし」に貢献しています。現在は、独立行政法人国際協力機構(JICA)事業を通じて、ザンビアとモザンビークなどの土木部門に技術協力して、ME養成講座を基にした橋梁維持管理技術者育成講座の構築とその持続的な枠組みの構築を目指しています。